【本感想】武士の生き様は参勤交代にあり!?「一路」濃密なストーリー展開を見逃すな!

読書感想

 今回の感想記事は、浅田次郎さんの作品「一路」です。

 参勤道中で繰り広げられる濃密なストーリー展開から目が離せません!!

 本作「一路」は

こんな方にオススメ

感動したい方

武士の生き様を見たい方

笑いたい方

きれいな物語を堪能したい方

 に特にオススメです!!

 今回の記事も、いつものようにネタバレなしで語ります!

 そのため、まだ「一路」を読んだことのない方でも、安心してこの記事を読むことが可能ですよ~。

あらすじ

 江戸時代末期。

 小野寺一路19歳、父の突然の死去により、「参勤道中御供頭」になることに…。

 小野寺一路は、父が亡くなるまで江戸で暮らしており、故郷田名部郡に初めて足を踏み入れる。

 さらに、小野寺一路は、「参勤道中御供頭」がどういったものか父から一切教えを受けておらず、何をどうすればいいのか全くわかりません。

 小野寺一路の父は、自分の屋敷を燃やしたことで亡くなり、失火の大罪で小野寺家のことは誰も助けてくれません。

 そんな逆境の中、小野寺一路は、焼け残った家伝の「行軍録」を発見し、無事に参勤道中を終えることができるのか?

 小野寺一路と当主たちは、色々な困難が降りかかる参勤道中をどうやって乗り越えるのか?

 波乱万丈な参勤道中を刮目せよ!!

感想

参勤道中で江戸時代末期の武士の生き方が浮き彫りに?

 本作「一路」の時代背景は、江戸時代末期、ちょうど桜田門外の変が発生したあたりです。

 この時代の武士がどのような考え方を持っていたのか?

 どのように生活していたのか?

 それが、参勤交代で江戸に至るまでの道中にたくさん出てきます。

 田名部郡が江戸に行くまでに通過するルートは、様々な大名の領地を通ります。

 その各領地を通過する際に、その地域特有の大名たちが登場し、様々な考え方を持って行動していることが分かるんですよね。

 しかも、それぞれの大名は、みんなキャラが濃い!!

 家柄だけのダメな奴もいれば、脳筋大名もいたり、とにかく飽きさせないキャラ構成でページをめくる速度が緩まない。

 もちろん、江戸時代末期の参勤交代がどれだけ形骸化しているのかも浮き彫りになるので、面白い。

この当主!魅力的!!

 小野寺一路が使える当主は、蒔坂左京大夫(まいさか さきょうのだいぶ)!

 周りからの評価は「うつけ者」…。

 つまり「おバカさん」という評価です。

 そんなおバカな当主が参勤交代を失敗したら、財政難の幕府はここぞとばかりに蒔坂家を取りつぶしにしたっておかしくありません。

 参勤交代のことを何も知らない主人公小野寺一路と、周囲からうつけ者と呼ばれている当主。

 この2人が中心となって参勤道中して大丈夫なの?って不安がありますよね。

 詳しくはネタバレになるので控えます。

 ですが、この当主・蒔坂左京大夫がメチャクチャ魅力的!!

 本作「一路」を読んだほとんどの方なら、私はこの人になら仕えたい!!って思うはず。

 蒔坂左京大夫がどれだけ魅力的かは、「一路」を読んで確認してください!!

「一路」という題名の通りのストーリー!

 本作「一路」とは、もちろん、主人公の名前が「一路」だから。

 ……だけではないと考えます。

 そもそも「一路」の意味は、

 グーグルで調べると 

ひとすじの路(みち)。

まっすぐに。寄り道しないで。

 となっていました。

 そうなんです!!

 本作「一路」のストーリーは、まさにひとすじの路(みち)なんですよね。

 無駄なところが一切なく、出てくるキャラみんなが魅力的。

 参勤道中で様々な困難に直面しますが、小野寺一路たちの選択が面白いように道を開いていくんです。

 突然ですが、本作「一路」は一人称視点で話が進みます。

 一人称なので、主人公の小野寺一路視点で話が進むと思った方もいるかもしれません。

 ですが、一人称の視点がバンバン変わります。

 この視点切り替えのことを話すと、全然「ひとすじの路」じゃないじゃんって思う方がいるかもしれません。

 詳しく話すとネタバレになるので控えます!!

 ですが、まさに

 『一番の近道は遠回りだった。』

 『遠回りこそが俺の最短の道だった。』

 という、SBRのジャイロのセリフを小野寺一路に言わせたい!!って思うほどの感動を与えてくれますよ~。

 また、SBRつながりではないですが、本作「一路」では、馬もしゃべります!?

 この馬の視点がかなり面白くて、私のお気に入り。

 まさか、唐突にしゃべる馬で感動させられるとは思ってもいませんでした…。

「一路」を読み終えたら?

 

 「一路」を読み終えた方にオススメなのが、同じ作者の浅田次郎さんの作品で同年代の幕末を扱ったこれ!!

 「黒書院の六兵衛」!!

 浅田次郎節が効いた作品の中毒になっている人いませんか?

 そんな方は安心してください。

 私もそうです。 

まとめ

 今回の感想記事は、幕末の武士を、コミカルに壮大に描いた傑作「一路」でした!

 自分の役割を全うする男たちの必死さに 

笑いたい方!

泣きたい方!

元気をもらいたい方!

 そんな人たちは「一路」を読もう!! 

 最後に、私が1番好きだったシーンを紹介して終わります。

 のう、小野寺。

 そちは何でもかんでも杓子定規に物申すがの、しからば余も杓子定規に答えねばならぬぞ。

 中山道が天下の公道ならば、その道に住まう者どもは天下の領民であろう。

 それらの苦衷を訪ねることが僭越と申すのであれば、余は江戸御城内にて尾張大納言殿を引き摑まえてでも申し上げる。

 御領内の惨状をかくも放っておいて、何が御三家筆頭じゃ。

 余の言葉がいかほど過ぎようと、年端もゆかぬ小娘の直訴の覚悟には及ぶまいぞ。

 よいか、小野寺。

 六十二万石の御行列なら歯牙にもかけまいが、七千五百石の旗本ならばこそ聞かねばならぬ。

 まことの分限とはそうしたものじゃ。

 履物を持て。

 この当主の言葉を聞いた後の小野寺一路がカッコいいんですよね!!

 両親を亡くした女の子にご飯を上げた小野寺一路の言葉がこれ!

 侍はの、万が一のために食い物をいくらか残しておくのだ。

 妻籠まではわずか二里ゆえ、気にせんでよいぞ。

 万が一はおまえじゃ。

 これを聞いた周りの武士たちみんなが、「万が一」って言って、自分のご飯やお金を渡すんです。

 このシーン大好き!!

  以 上

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