今回の感想は、池波正太郎さんの「人斬り半次郎」です。
幕末の四大人斬りの一人としてその名を轟かせた「中村半次郎」の生涯をとおして描かれる幕末と西南戦争。
池波正太郎さんの読みやすい文章もあって、あっという間に読み進めてしまう中毒性があります。
「人斬り半次郎」は
こんな方にオススメ
幕末好きな人
西南戦争とは何か知りたい人
「中村半次郎」が気になる人
に特にオススメです!!
この記事も、いつものごとくネタバレなしのため、まだ「人斬り半次郎」を読んだことがない方でも安心して読むことができますよ~。
あらすじ

時は幕末、薩摩の中で芋侍とバカにされていた1人の男がいた。
その男の名は、「中村半次郎」。
身分が低いことに対してヤケにならず、家族を養うために、畑仕事と剣術修行を一生懸命に行う毎日。
そんなおり、「西郷隆盛」と運命的な出会いをし、京都で活動することに。
その後、鍛えぬいた剣術を使って「人斬り」として、名を上げていく半次郎。
明治に入ったのちは、名を「桐野利秋」と改め、日本初代の陸軍少尉となる。
だが、「西郷隆盛」の回りは平和にならなかった。
国内最後の戦争と言われる「西南戦争」はどのようにして起こったのか。
「桐野利秋」をとおしてみる幕末から西南戦争までを描いた超大作。
感想

「池波正太郎」さんの文章は本当に読みやすい
「人斬り半次郎」は、主人公「中村半次郎」を中心として物語が進行していきます。
文庫版上下巻で、合計約1000ページほど。
それでも、ページをめくる手が止まらずに、あっという間に読み終えることができました。
これは、池波正太郎さんの作品全般に言えることですが、文章のテンポが非常に心地いいんですよね。
人が読みやすい文章というのは、池波正太郎さんの文章のことを言うんじゃないかと思っているくらい読みやすい。
これは、人によって好き嫌いがあるかもしれないので、絶対とは言えません。
気になる方は、ぜひ「人斬り半次郎」を読んでみてください。
また、「中村半次郎」の薩摩弁がクセになるんですよね。
「なっちょらん」なんて、読み終わった後、リアルで頭の中に浮かびますもん。
「中村半次郎」の勤勉さには頭が上がりません
「中村半次郎」は、薩摩の下級武士。
普通では出世なんてできるわけもなく、早くから父親を亡くし、日々の生活にも困る有様。
それでも、半次郎は諦めず腐りませんでした。
毎日、朝早くから畑を耕し、剣術の稽古も欠かしません。
家には、母と身体が弱い妹がおり、半次郎は、若いながらもこの2人を養っていました。
そういった生活を繰り返していると、半次郎に転機が訪れます。
そう、「西郷隆盛」との出会いです!
この出会いをきっかけに、京都に上がり、「人斬り半次郎」と呼ばれる凄腕の男として有名になりました。
そして、半次郎の凄いところは、日々のお勤めとは別に、文字が分からない自分を恥じて文字の勉強をするんです。
それこそ、他の人間から言わせると、いつ寝ているのか分からないとのこと。
若い頃から努力を続け、出世に成功してもさらに上を目指した中村半次郎。
その半次郎の半生を見るだけでも、半次郎の生き方は、素直に凄いと思って読み進めました。
詳しい半次郎の努力は、「人斬り半次郎」を読んでほしい。
どこまでもまっすぐだった男「中村半次郎」
上記で話したとおり、「中村半次郎」は努力家でした。
自分の志にまっすぐだったんでしょうね。
それが、明治時代になったのち、「桐野利秋」となってからも変わりませんでした。
この時代からは、「中村半次郎」ではなく「桐野利秋」と改名しているのですが、読んでいて混乱しないために、「中村半次郎」で統一いたします。
明治時代になって起こった戦争といえば、「西南戦争」です!
「西郷隆盛」が中心となって起こったとされる「西南戦争」。
そのきっかけは何だったのか?
他作品の「竜馬がゆく」では、「西郷隆盛を西南戦争に担ぎ上げた男」として紹介されていた「中村半次郎」でしたが、「人斬り半次郎」ではどうだったのでしょうか。
また、この辺りになってくると、「中村半次郎」よりも、「西郷隆盛」の魅力に惹かれます。
確かに、「西郷隆盛」は祭り上げられてしまった側面があったのかもしれません。
そして、「中村半次郎」は、その真っ直ぐさから、明治政府のやり方が許せなかったのでしょう。
中村半次郎は、真っ直ぐな心を持っていただけに、途中で方向転換ができない男だったんでしょうね。
まさに「武士」って感じの男「中村半次郎」。
詳細は、「人斬り半次郎」を読んでみてください。
「人斬り半次郎」を読み終わったら
「人斬り半次郎」を読み終わった方には、同じ時代で違う視点から幕末を、武士を見てもらいたい。
そこでオススメするのが、「壬生義士伝」。
新選組の中でも異色の存在「吉村貫一郎」を題材とした作品です。
若い頃からの努力を認められて出世したのが「中村半次郎」でした。
逆に「吉村貫一郎」は、若い頃の努力が認められずに新選組に入隊。
そして、最後にどうなるのか…。
武士とは?
義とは?
考えさせられる超超名作ですよ。
詳しい感想はこちらの記事へどうぞ。
【本感想】日本のラストサムライ!号泣必至の「壬生義士伝」1番好きな新選組小説はこれ!!
まとめ
幕末四大人斬りの中で唯一出世をした「中村半次郎」。
人斬りと呼ばれてなお出世をするというのは、「中村半次郎」が人として魅力的だったんでしょう。
そんな「中村半次郎」の生涯を堪能することができる「人斬り半次郎」は、一度読んでみて損はない名作です。
最後に「人斬り半次郎」の中で1番印象に残った言葉で終わりたいと思います。
あの人らは、むかしからそうなのじゃ。
世の中のことは黒と白の二色しかないと思うちょる。
気の早いことごわす。
黒と白の間にある色を忘れちょる。
赤もありゃ、黄もある。
あの空のように青い澄みきった色もあるのじゃ
これぞ西郷隆盛の考え方。
白か黒かはっきりしたがる社会ですが、こういう考え方があってもいいと思いました。
以 上
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