【本感想】明智光秀は日本史上最大の裏切り者?それとも…「覇王の番人」に答えが!?

読書感想

 日本の歴史で1番有名な裏切り者といえば明智光秀と言う人は多いと思います。

 本作「覇王の番人」は、そんな明智光秀の生涯を描いた傑作です。

 なぜ明智光秀は後世に名を残すほど有名になったのか?

 なぜ主君である織田信長を裏切ったのか?

 その答えを作者真保裕一先生なりの解釈で世に出したのがこの「覇王の番人」です!

 戦国時代の小説を探している方や、明智光秀が好きな方にオススメです!! 

あらすじ

 時は天文17年(1548年)、斎藤道三に仕える若者がいた。

 その若者の名は明智十兵衛光秀。

 この2人が織田信長について語るところから物語は始まります。

 明智光秀20歳、本作「覇王の番人」はここから明智光秀の激動の人生を描きます。

明智光秀って?

 これについては義務教育で必ず出てくる名前なので皆さんご存じだと思います。

 戦国時代に、主君織田信長を裏切り、かの有名な本能寺の変において織田信長を倒した人物です!!

 歴史の教科書だけで見ると、明智光秀は、日本人で1番有名な裏切り者のイメージを持っている方が多いと思います

 ですが、近年、NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」などでスポットを浴びたこともあって、明智光秀はただの裏切り者ではないことが広まっていますよね。

 実際に、明智光秀は内政もしっかりしていたり、深い教養のおかげで朝廷との橋渡しのような動きもできたり、それだけに収まらず、戦においても非凡な働きを見せています。

 その働きの結果、織田家の中では外様の明智光秀は、1番の出世頭となって坂本の地を任されます。

 そこに築かれた坂本城が、のちに織田信長が築城した安土城よりも前に天守を作った城でもあるようです。

 では、なぜそこまで評価されている明智光秀は本能寺の変を起こしたのでしょうか?

 そして、本能寺の変ののち、なぜあっという間に豊臣秀吉に負けてしまったのでしょうか?

 そして、明智光秀の最期は、農民にやられるというあっけない最期と言われています。

 果たして明智光秀はそこで亡くなったのでしょうか?

 この辺りについては、明智光秀を題材にした色々な作品で触れられています。

 なにより明智光秀という人物が面白いと言えるのは、明智光秀を描く作者さんによって、明智光秀の人物像が大きく変化するんです。

 行き当たりばったりの裏切りか…。

 信念を持った裏切りだったのか…。

 ここまで人によって評価が変わる歴史的人物も珍しいですよね。

 つまり、それだけ明智光秀には魅力があるということなんだと思います

 さて、本作「覇王の番人」の明智光秀はどちらなんでしょうか?

 詳しくは「覇王の番人」を読んでください!!

感想

 平和を願った1人の武士と、その願いのために命をかけた忍が主役の戦国絵巻!!

 覇王の番人の明智光秀はとっても優秀な人物として描かれています。

 とにかく平和のために戦いに明け暮れるのですが、戦えば戦うほどに自分も傷ついていくんですよね。

 そして、自分が天下人に相応しいと考えて命を預けた相手の織田信長。

 この織田信長との考え方がズレていく展開が胸を締めつけます。

 この辺りの描写が本当に繊細に描かれているんですよね。

 明智光秀の苦労と覚悟が読んでいてヒシヒシと伝わってきます!!

 何となくですが、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」を見ていたときも思ったのですが、「麒麟がくる」の明智光秀と似ているんですよね。

 「麒麟がくる」においても、最初は織田信長に可能性を感じて織田家に仕えます。

 その後、織田信長の行動に疑問を抱くようになり、色々な思いを背負って織田信長を討つことを決意していました。

 本作「覇王の番人」もまさにこんな感じです。

 そして、面白いのが、「覇王の番人」で本能寺の変を起こした際の黒幕ですね。

 この黒幕が良い味きかせていました。

 歴史を読み解いていくと出てくる違和感を小説にうまく落とし込むことに成功している作品は総じて面白いイメージです。

 本作「覇王の番人」も、うまく歴史の違和感をついて黒幕を描いてくれているのでワクワクしました。

 作者である真保裕一さんの明智光秀は、本能寺の変はこうなんだっていう思いが伝わってきて面白いんですよね。

 実際に、本能寺の変を描いた歴史小説は数多くありますが、それぞれ作者さんの考え方が反映されていて面白いです!!

 戦国時代の歴史小説の本能寺の変のシーンはどれも必見ですよー。

 と明智光秀ばかりを語っていても「覇王の番人」はそれだけでは終わりません。

 もう1人の主人公である忍の「小平太」もいいキャラでした。

 この小平太は、「覇王の番人」のオリジナルキャラクターです。

 この小平太の視点から見る戦国時代、戦国武将というのが読者の心を揺さぶってきました。

 戦によって、家族をすべて失った小平太があることから明智光秀の忍となります。

 そして、戦を憎む小平太から見た明智光秀はどう写っていたのか、これが終盤での物語の深みに大きく手を貸したと思います!!

覇王の番人が面白かったら次はこの作品!!

 「覇王の番人」と言えば明智光秀ですよね。

 そこで、明智光秀にスポットが当てられている作品を紹介いたします!!

 それは、「国盗り物語」司馬遼太郎先生の傑作です。

 斎藤道三→織田信長

 をメインにしていますが、最終巻はほとんど明智光秀にスポットが当たっています。

まとめ

 

 明智光秀を知りたいという方にぜひ読んでもらいたいのが、本作「覇王の番人」です。

 戦国時代の魅力的な武将の1人と言えば、間違いなく明智光秀のはず!!

 そんな明智光秀の生涯が気になっている方は1度「覇王の番人」を手に取ってみてください。                       

                                                        以 上

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